離職防止や人材定着を考えるとき、退職率やエンゲージメントスコアだけを見ていても、一人ひとりが抱えている不安や違和感までは見えないことがあります。「自分だけ勤務の仕方が違って不安」「入社後の教育体制に違和感がある」「勤務ルールが公平ではないと感じる」「将来的に異動したい」「今の働き方をこのまま続けられるか不安」――。こうした声は、退職の申し出があって初めて表面化するとは限りません。日々の相談や継続的なフォローの中で把握できれば、会社側が状況を確認し、必要な対応を検討するきっかけになります。ここでは、タレントキーパーを通じて実際に寄せられた相談事例をもとに、従業員がどのような不安や希望を抱え、企業側がどのように対応したのかをご紹介します。

サーベイや面談だけでは、見えにくい本音がある

エンゲージメントサーベイやパルスサーベイ、1on1、定期面談など、従業員の状態を把握する方法はさまざまです。一方で、人事や上司が全員を継続的にフォローすることには限界があり、本人が言葉にしにくい不安や、日々感じている小さな違和感が見えにくいこともあります。

実際に従業員から寄せられた5つの声

1|「自分だけ勤務の仕方が違う。このままで大丈夫だろうか」

新入社員から、勤務体制や業務習得、職場の人間関係について不安の声が寄せられた事例です。本人は周囲の期待に応えたい気持ちを持つ一方、勤務の負担や利用者対応への不安、スタッフ間の関係による精神的な疲労も感じていました。

相談内容を整理したうえで、本人の適性を考慮した配置や習得ペースの個別調整、継続的なサポートを検討。組織側でも、新人教育プログラムや勤務体制、職場環境を見直す論点として共有されました。

この事例では、タレントキーパーが初期不安の解消につながり、無事に定着へ進んでいます。

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2|「入社時に聞いていた教育体制と、実際のOJTが違う」

新入職の職員から、夜勤独り立ちまでの研修回数や、本社面談で聞いていた内容と実際のOJTの違いについて相談が寄せられました。同時期に入職した職員との研修回数にも差があり、「約束が守られていないのではないか」という不安が、会社への信頼に影響する可能性がある状態でした。

相談後は、現場だけで閉じず、本社側も状況確認に入り、研修回数や独り立ち基準を確認。あわせて、新人研修ルールや例外対応の説明方法など、今後の改善につながる論点として整理されました。

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3|「勤務希望のルールが人によって違うのは不公平では?」

希望休や夜勤希望など、勤務希望の提出ルールについて不公平感が寄せられた事例です。一部のルール違反が常態化することで、ルールを守っている職員側に不満が蓄積し、勤務回数や希望の通りやすさにも差が生じていることが問題として挙がりました。

個別相談だけで終わらせず、ルールの統一的な運用や、違反時の対応、希望休を公平に取得できる環境づくりなど、現場運用そのものを見直す機会につながりました。

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4|「今すぐ辞めたいわけではない。でも将来的には異動したい」

現在の職場で大きな問題が起きているわけではないものの、本人が中長期的なキャリアや働き方として、別店舗・別業務への異動を希望していた事例です。

本人の希望業務、通勤条件、希望する店舗などを具体的に整理し、短期的には現在の勤務を継続しながら、中期的には新店舗オープン時などに配置を検討できるよう、組織側で希望を把握する形となりました。

離職予兆は、必ずしも強い不満として表れるとは限りません。「今後どう働きたいか」という希望を早い段階で把握しておくことも、人材定着を考えるうえで重要な情報になります。

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5|「この働き方のままなら、退職を選ぶかもしれない」

勤務条件や残業の実態、上司との関係について相談が寄せられた事例です。面接時に聞いていた働き方と実態に差があり、さらに相談内容が上司へ伝わったことで関係が悪化。本人からは「このまま現在の店舗で働くのであれば退職を選ぶ可能性がある」という意向も示されていました。

こうしたケースでは、相談内容の秘匿性を守りながら、本社側で対応方針を検討し、必要に応じて配置転換や勤務条件の見直しにつなげることが重要になります。

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離職防止で重要なのは、「辞める」と言われる前の変化を拾うこと

離職防止というと、退職意向が明確になった従業員への引き留めをイメージしがちです。しかし、実際に寄せられる声は、勤務の不公平感、教育への不安、上司との関係、将来の異動希望、ワークライフバランスなど、一見すると退職とは直接結びつかないものもあります。

こうした声を早い段階で把握できれば、本人への個別フォローだけでなく、教育制度や勤務ルール、配置、職場環境など、組織側の改善テーマとして扱うことができます。

全員を人事が追わなくても、フォローすべき人を把握する

社員数や拠点数が増えるほど、人事が全員と継続的に面談し、一人ひとりの状態変化を把握することは難しくなります。重要なのは、すべてを人の目だけで追うことではなく、日常的な声を継続的に集めながら、優先的にフォローすべき人や改善テーマを見つけられる状態をつくることです。

タレントキーパーは、従業員から寄せられる相談や状態変化を把握し、必要に応じて企業側のフォローにつなげることで、人材定着を支援します。