株式会社ワイズマート × タレントキーパー

多店舗企業では、従業員一人ひとりの「小さな違和感」が見えにくい

多店舗を展開する企業では、従業員一人ひとりの状態を人事部が直接把握することは簡単ではありません。定期面談や上司によるフォローを行っていても、「こんなことを相談していいのだろうか」「直属の上司には言いにくい」「人事に相談するほどの問題ではない気がする」と、本人が悩みを抱えたままになっていることがあります。

こうした表面化する前の不安や不満を拾い、必要に応じてフォローにつなげる仕組みとして、株式会社ワイズマートではタレントキーパーを活用しています。

「参加するかどうかは、自分で決めたい」

実際にタレントキーパーへ寄せられたのが、社内の懇親会に関する相談でした。この従業員は、大人数で集まることが苦手で、飲み会への参加を断ろうとしたところ、参加を求められたと話していました。

「参加するかしないかは自分が決めたいんです。」

本人は、職場で交流することの大切さ自体は理解しながらも、今後予定されている忘年会についても、断ってよいのか不安を感じていました。一見すると、退職や重大な人事トラブルとは離れた「小さな悩み」に見えるかもしれません。しかし、こうした日常の違和感や言いづらさを本人だけで抱え続けることは、働き続けるうえでのストレスにもなり得ます。

離職防止を考えるうえでは、退職意思が表面化してから対応するだけでなく、その前段階にある従業員の声を拾えるかも重要です。

タレントキーパーが、実際に動ける形まで対応方法を整理

相談を受けたタレントキーパー事務局は、その日のうちに返信しました。単に「上司と話してください」と案内するのではなく、従業員本人が実際に行動へ移しやすいよう、伝え方を具体化しました。

  • 最初に感謝を伝える

  • 断る理由は簡潔に伝える

  • 仕事には前向きに取り組む意思を伝える

  • 再度参加を求められた場合の返答方法を決めておく

さらに、それでも対応に困った場合には、再び事務局へ相談できることも伝えています。

相談当日で終わらず、その後も継続してフォロー

今回の相談では、相談を受けて一度回答して終わりではありませんでした。相談を受けて当日中に回答。その後、約2週間後に事務局から状況を確認したところ、この従業員から次の報告が寄せられました。

「その後ですが、無事に断ることができました。」

「ご相談にのってくださり本当にありがとうございました。」

さらにこの後も再度状況を確認。本人は、人と話すこと自体が得意ではないとしながらも、「前回のようにどうしても困っている際はご連絡しようと考えております」と伝えています。相談窓口を設置するだけでなく、実際に相談し、その後も必要なときに使える接点として運用することが重要です。

アンケートの回答だけでは分からない「その人の事情」を見る

従業員サーベイやアンケートを実施していても、回答結果だけで従業員の状態を正確に判断できるとは限りません。実際、この従業員は後のアンケートで「あまり相談したくない」という選択肢を選んでいました。

これだけを見ると「相談窓口を必要としていない」とも受け取れます。しかし、事務局が確認したところ、その背景には「人と話すこと自体が得意ではない」という本人なりの理由がありました。そして、必要な状況になれば再び相談したいという意思も確認できています。

サーベイの数字だけを見るのではなく、その回答の背景まで把握することも、多拠点企業における従業員フォローでは重要なポイントです。

3カ月のトライアルを経て本契約へ。上司側の支援にも拡張

ワイズマートでは、3カ月間のトライアル後、2025年12月に社内検討を経て30名以内プランの契約を決定しました。2026年1月から本契約を開始し、対象従業員も追加されています。

さらに2026年8月からは、従業員側だけでなく上司側へのフォローもスタート。部下との接し方やフォローに悩む管理職側にも相談できる接点を設けています。

多拠点企業ほど「全員を見る」から「必要な人を見つける」仕組みへ

多店舗・多拠点企業では、人事担当者がすべての従業員と定期的に面談し続けることには限界があります。重要なのは、人事がすべての相談を直接受けることではありません。

  • 今、誰が困っているのか

  • 誰にフォローが必要なのか

  • どのような声が現場から上がっているのか

それを継続的に把握できる状態をつくることです。タレントキーパーは、定期的な状態確認と第三者による相談対応を通じて、従業員が抱えている悩みを拾い、必要に応じて企業側の対応へつなげます。

「退職すると言われて初めて気づく」のではなく、その前に現場の声を知る。ワイズマートの事例は、多拠点企業における離職防止・人材定着を考えるうえで、その一つの運用方法を示しています。

※本事例は相談対応と本人からの報告を紹介するものです。離職防止人数や定着率改善との因果関係を示すものではありません。